なんとなく僕たちは大人になるんだ

1年目。先輩たちとの途方も無い差を感じて恐ろしかった。2年目。先輩たちとの微妙なテンションの差を感じながら、後輩ができて先輩たちの心情も理解できるようになった。

そして3年目。そもそも始まる前から準備も色々ありなにかと億劫だった。周りの冷めた態度や金銭面での大きな損失を考えると心から楽しむことはできないんだろうなと考えていた。

結果から言うと、全くそんなことはないどころか、むしろ真逆だった。

 

1年生。

2年前の僕がそうだったように、1年生とのギャップを感じずにはいられなかった。TikTokやってる高校生みたいなテンションと、朝になるまで歌い続けるエネルギー。若い若いなんて言ってる同級生をバカにしていたが、いよいよそれを認めずにはいられないなと思った。実際にそれまでの僕らと彼女たちとの間にある差はかなり深刻だったように思えたので、今回はそれを埋めることを僕の中で最優先事項としていた。1日、2日と夜が明けていき、挨拶や軽い会話くらいは交わせるものの、やはり決定打を打てるような機会は得られなかった。しかし3日目、あれほどライブハウスでつまんなそうにしていた彼女たちは、飛び上がって大声で曲を歌っていて、その変化があまりに劇的すぎて驚いた。夜になると、酒の勢いを借りて誰彼構わず出会う人全てに声をかけて、星空の下へと連れ出した。文にすると穏やかだが、実際には奇行と言わざるを得ないだろう。しかし彼女たちはそんな奇人についてきて、一緒に歓声を上げて星空を眺めてくれた。僕はあの人たちみたいな素晴らしい先輩になれただろうか。期間の短さや2年のジェネレーションギャップなどないものにできただろうか。いや、今回ないものにできなくても、これから少しずつ埋めていければいい。

とにもかくにもこれで役者は揃った。

 

2年生。

頼もしくなったな本当に。いや、たしかに元から頼もしくて、危機感すら感じていたが、今回の合宿で2年生の頼もしさや力強さを強く実感することになった。僕のとんでもない無茶振りに応えてくれたし、1年生とのコミュニーケーションも素晴らしかった。写真を撮ってくれたり、僕らの仕事を手伝ってくれた。終わってからも、1年生を積極的に遊びに誘ったり、バンドを組もうと言ってくれたり、その積極性によって時には傷つくこともあるかもしれないが、それを失くさずに行って欲しい。そんな姿を見て、これからはこいつらが僕らの後を受けて働いてくれるんだろうなと強く感じた。立派に先輩になったんだな、と思った。でも、酒を飲んだ時にふと見せた涙や「留年しろ」の言葉はやはり嬉しかった。まだまだ可愛い後輩だ。まだまだ負けられないし、先輩としての威厳も見せなければならない。

ここからが本当の勝負だ。

 

3年生。

本当に感謝している。僕が1年生と仲良くなれたのも、影で動いてくれた同級生たちのおかげだと思う。朝方の彼らの死にそうな表情は忘れられない。自分を殺して本当に色々やってくれた。僕は自分のやりたいことだけやって、嫌なことは一つもしなかった。あと3ヶ月、もう少しだけ一緒に頑張っていこう。そんな中でふと見せた笑顔はやはり印象的だった。「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて、なくなる」そんな言葉を僕は思い出していた。とてつもない重力にも彼らは耐えて、楽しそうに振舞っていた。最高の同級生だと思う。僕はこの学年でよかった。大きすぎる課題をクリアして、いよいよ終わりへと続いていくが、一番長く一緒に居られる学年だからこそ、一番大切にしていきたいな、と思う。楽しいことだけじゃなく辛いことも一緒に乗り越えていこう。

まだまだ言いたいことが溢れすぎるので、それはまた今度にとっておこう。

 

そして先輩たち。容姿が変わってしまっても、あの時に見ためちゃくちゃな言動は、不本意にも僕たちは引き継いでしまったように感じる。もちろん僕はあの人たちみたいになりたかったので、良いところももっと引き継いでいけたら良いなと思う。タメ口で叫んでも、私物を勝手にびしょ濡れにしてしまっても許してくれてありがとうございました。

 

間違いなく大人になってしまった僕たちの音楽は、大人を知らない後輩たちを新たに迎えて、いよいよラストのサビへと向かって激しさを増していく。まだまだやりたいことが山ほどある。悔いなど残さないために、一分一秒を大切にできたら良いなと思う。

 

 

 

 

ああ どうか どうかお願い

ずっとずっと笑っていておくれ

ああ 僕は 僕は 

いつまでたってもドキドキしてたいんだ

 

 

(2018年 9月8日投稿)